東京の結婚相談所を比較考察 パートナーエージェントさん 9
さて、大長編になっているP.A.さんの考察シリーズ。P.A.さんの方向性を考える上で重要なポイント
・IBJ(日本結婚相談所連盟)を脱退した
・リクルート(ゼクシィ縁結びカウンター) エン婚活 と提携した
・低価格路線に舵を切った
の3番目、「低価格路線に舵を切った」を考察していきます。1回で終わるかな、、、終わらなそう。。。
●P.A.さん本体の価格設定は従前と変更はない
実はP.A.さん本体については、価格は変更されていません。従前どおりの金額です。
せっかくなので具体的な金額を見てみますと、
初期費用:¥125,000
月会費 :¥ 16,000
成婚料 :¥ 50,000
という価格設定です。
パーティー参加等には費用がかかりますが、お見合い料はかかりません。
この金額設定で「半年成婚した場合 ¥271,000」 「1年成婚した場合 367,000」となりますので、
「仲人型の結婚相談所」というカテゴリーで見た場合、そこまで金額的には高くないです。少なくとも当相談所よりはお安いです。
この金額で都内1等地にオフィスを構えて広告宣伝を積極的に行うとなると、
会員ひとりひとりにサポートの時間を確保することがなかなかに難しくなるんじゃないかなぁ、と思われます。
その辺りを「面談は3カ月後と10か月後の計2回が原則」なり
「会員への紹介をコントロールするノウハウで事務作業を軽減」するなどして、
サービスの質を担保しているのだと思います。非常に上手な経営戦術だと正直感心です。ひとつひとつがホントにサスガ。
会社情報を見ると従業員数が400名程度とあります。そこから
・会員を持たない社長や取締役
・会員を持たない本社事務系スタッフ
・会員を持たない新規会員獲得を専門とする営業担当
・会員を持たない「パーティ事業」や「ソリューション事業」などの社員
などを差し引くと多く見積もっても200名程度が専門のコンシェルジュ(P.A.さんの呼称)だと思われますので、
10,000 ÷ 200 = 50名 が1コンシェルジュあたりが担当する会員になると思われます。
「仲人型結婚相談所」としてやっていけるぎりぎりの人数ですね。
この辺りの人数バランスも、さすがはP.A.さんです。まさに絶妙。
●むしろ低価格志向なのは「周辺サービス」と「提携企業」
見出しの通りになってしまうのですが、低価格志向なのはむしろ「周辺サービス」と「提携企業」にあります。
・周辺事業 : ファスト婚活事業 ⇒ お見合いパーティ 低価格の結婚相談所
・提携企業 : リクルート(ゼクシィ縁結びカウンター) および エン婚活
それぞれ具体的に見てみましょう。
●周辺事業 : ファスト婚活事業 ⇒ お見合いパーティ 低価格の結婚相談所
P.A.さんは独自に婚活パーティも実施されています。
「OTOCON」というブランド名(?)で展開をしているのですが、
他社比で明らかに違うのは「男性が安くて女性が高い」ということです。
OTOCON の費用感
男性 : ¥3,000 - ¥4,000 女性 : ¥2,000 - ¥3,000
一般的な婚活パーティの費用感
男性 : ¥4,000 - ¥6,000 女性 : ¥1,000 - ¥2,000
明らかに「男性の皆さん寄ってらっしゃい」です。
私もぶっちゃけ行きたいです。敵情視察とかそういうの完全に抜きにして、本気で顧客として参加したい。
詳しくやると長くなるので簡単にとどめますが、昨今の婚活市場は「男性少数」「女性多数」です。
従い、実は「男性会員の確保」が結婚相談所における重要な経営課題にもなっています。
OTOCONの戦略はというと、
このような低価格パーティーを開催して男性の母集団を集め、
パーティーでうまくいかない参加者に声かけをして結婚相談所に入会させる。というものです。
入会するとOTOCONメンバーズというところに登録されますが、費用はかなり安いです。
初期費用は3万円程度で、月会費が1万円強。成婚料はかかりません。
紹介方法は相変わらず「全部を見せないコントロール型」ではありますが、
「費用」という顧客が非常に重視するポイントにおいて、これは間違いなく大変な「強み」です。
●提携企業 : リクルート(ゼクシィ縁結びカウンター) および エン婚活
これまたこの2社のお値段も格安です。というより爆安?いやいやもはや、「激安の殿堂」かも。
この2社の個別考察記事ではないので詳細なお値段は省きますが、
恐らく業界標準と比べた際に半分か、下手すればそれ以下かもしれません。変態的なお安さです。
まがいなりにも日本を代表するリクルートなりエン・ジャパンなりが参入してきて、
やることが最初っから「価格競争」っていうのも、なんとも節操ないなぁ、と苦笑いなところですが、
まぁ、それがやりたいんでしたらやればいいです。
それにしても、面白くないだろうなぁ、中にいる社員は。
リクルートに入ってまでして、やることは次から次へとやってくる登録者を機械的にベルトコンベヤーする作業。
ヨソを圧倒するような低価格がウリなわけですから、ひとりひとりに個別サポートなんてできるわけがありません。
マニュアル通りにメール返信でもさせてるんでしょうか。どう考えても付加価値の高い仕事はできないです。
これをやりたくてリクルートに入ったのかな。正直社員がかわいそうです。俺なら辞めちゃう。無理。
すみません。なんだかおじいちゃんみたいなことを言ってしまいました。
もともとリクルートの精神って実はすごく好きで、
私が勤めていた会社もリクルート出身の人が社長をやっている会社が多かったものですから。
なんか今のリクルートを見ていると一抹の寂しさを感じるんですよね。
何もないのっぺらな画面に「情報」という「価値」をくっつけて、
日本中の企業を振り向かせていたあの頃の気概はどこに行ったんでしょう?(※リクナビのことを言っています)
それが今や、既存の業界に後から参入してきてバナナの叩き売りとは。。。
もう人を育てる会社ではなくなってしまいましたね。。。
なんだか考察というより、私の悲しい懐古になってしまいましたが、
いずれにせよ、低価格志向の提携2社に引っ張られて、サービス全体が低価格化していくことでしょう。
例えば、1日数組だけを相手にするような高級フレンチのレストランがあるとします。
でも、もっと多くのお客さんを呼びたいと考えたので、
ディナーの時間に¥1,000スパゲッティのサービスを始めてみました。するとどうなるでしょうか?
¥1,000スパゲッティ欲しさに大勢の顧客はやってきます。
しかし、それと引き換えに高級フレンチのフルコースを注文する顧客はいなくなります。
高価格・高品質であることがウリだったお店なのに、
低価格・それなり品質のサービスを始めたものですから顧客の層が変わってしまったのです。
そして、高価格・高品質を求める客層は低価格・それなり品質のお店にはいきません。そういうニーズじゃないから。
それでは、サービス全体が低価格化していくとどうなるでしょうか?次回はその点を考察していこうと思います。
やっぱり1回では終わらなかった・・・。